忍者ブログ
No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
[1]  [2]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



紫苑はたまに、涙を流す時がある。前触れはない。突然に、その少し大きめの瞳が水の膜でおおわれ、満ちたかと思うと、もうはらはらとそこは涙を溢れさすのである。隠すこともせず素直に泣く様はこどものようなのに、どこまでも静かに涙を流し続ける姿は大人びていてアンバランスだ。そうやって声もなく泣き続ける紫苑に、理由を尋ねたことはない。聞いてはいけない、というよりは聞かない方がいい気がした。紫苑はいつも、俺が遠ざけ諦めているものに手を伸ばしては、自分から勝手に傷ついていく。何度注意しても、それをやめない。やめるような器用さをもっていない。紫苑が流し続けるその涙の意味は、きっとそういったものに近いのだ。俺が忌避し続けるもの。紫苑が向き合おうとするもの。だから聞かない。もしかすると本当は、俺はその答えを知っていて、知っているからこそ聞かないのかもしれない。ばかでおろかな紫苑よりもずっと、この俺の方が。









PR


朝。
同じベッドで起床して、同じ洗面台で顔を洗い、同じメニューの朝食をとり、同じ制服を別々に着こなして、同じ具のつまった弁当を持ち、同じ学校指定のローファーを履き、同じ玄関から家を出る二人。
その、扉を開ける前のほんの数秒前。
立ったまま俯いて靴に足を突っ込むネズミと、しゃがんで靴をきちんと履く紫苑が立ち上がるタイミングで毎朝、キスをする。たまに唇を食んだり、舌を絡めもする。そしてそれが済むと二人は満足して、扉をあけて学校へ向かう。ほんの数秒前まで男同士でキスをしていたなんて微塵も思わせない素振りで、とても良い天気の下、爽やかに登校する。たまに電信柱の影で思い出したように、こっそりとキスをしながら歩く。そうやって交わす二人だけの秘密は、誰にもバレないのだ。












あの日たてた誓いを馬鹿みたいに守っている。



俺だけを、ずっと。好きでいると言った。
夏の嵐の夜、うす暗い部屋のベッドの上で紫苑はそう誓い、俺も同じ誓いを立てた。
けれど月日はそんな小さな世界を許さず、紫苑が好きなものは増えていった。俺は、紫苑しか好きじゃなかったけれど。どうして俺以外をそんなに大事にするんだと悩んだおともあったがある日唐突に、紫苑が普通で当たり前で、ずっと紫苑ばかり必要としている自分の方がおかしいんだということに気づいた。その時から俺は、躍起になって紫苑を縛ろうとあがくことを止めた。あの日の誓いはもはや守られず、紫苑がそういう意味で俺を選ぶことはない。そう理解してしまうとそれまでの嫉妬が嘘のように頭がすっと冷えてしまって、笑い出したいくらいだった。















まるで昔、それなりに遊んでいた俺への当てつけか何かと勘ぐってしまう程、紫苑は性犯罪に属する類のトラブルが絶えない。別に紫苑がものすごい酒乱で、飲むと手がつけられないほど淫乱になるとか、そういうやっすいエロビデオにありそうな設定を搭載している訳ではない。もちろん、加害者側として警察にお世話になっている訳でもない。恐ろしいことに、ただ、本当に、いっそ模範的であるほど普通に暮らしているだけで、紫苑は何かと厄介事に恵まれた。付き合いだしてからここ数年、片手では足りないその被犯罪遍歴は、中学生の時にサラリーマン風の男に売春を迫られたことに始まり、高校1年時の痴漢および盗撮、高2・高3時代の強姦未遂(男子校であったことが完全に災いした)に続き、大学に入ってからは度重なる露出狂との遭遇、かと思えばストーカーに付きまとわれた挙句夜道で襲われるなど、いっそ笑えるほどのフルコースを味わっているのである。もう一度言うが、紫苑自身はいたって普通にまじめに生活している。紫苑に非はなく、加害者に全ての責任がある。そしてもちろん、そういった奴らは自分を含めた紫苑に近しい者たちが、全力でもって身体的にも社会的にも再起不能にしてやっている。しかしながらそれでも紫苑がそういう糞野郎どもに何かしら悲惨な目に合わされる度、激しく煮え滾るこの怒りだとか殺意だとかにはいつまで経っても慣れないものであって、今日なんてとうとう誘拐からの監禁未遂という新たな称号を手に入れた紫苑に、助け出しておいてなんだが開いた口がもはや塞がらない。もう本当に、本当にいい加減にしろと誰にともなく呟いた。先ほど、倉庫で救出したばかりの紫苑はまだ気を失っていて、その手には柱に繋がれていた手錠がついたままになっている。この先、紫苑(の貞操)のためにもいっそ俺がどこかで監禁してやろうか、などと考えていると沙布に思い切り後ろから蹴られた。これだから、賢くて勘の良い女はキライだ。











ネズミが風呂から上がると、大抵紫苑はそれを待ちながらうたた寝をしてしまっている。浅い眠りを漂っている紫苑を揺すり起こしてやると、霞がかってぼんやりとした薄紅の瞳がそっと開く。普段はねぇネズミなぁネズミと、何かとおしゃべりな男だが、この遠くを見るような目をしながら気だるげに身を起こし、物言わずにゆっくりと服を脱いでいく様は、普段の紫苑の雰囲気とは違っていて、実はネズミのお気に入りだったりする。もともとの育ちが良いだけに上品な脱衣と、それに反比例して現れる紅い蛇はどうしたって淫靡で、「これはなかなか良いストリップだな」なんて、ネズミはこっそりと思っている。









thanks


----------------------

*Clap ←メルフォをかねて。
hello
*master
水分
*about
ネズミと紫苑と変態とロリコンがすきです。ぴくしぶとついったひっそり。
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]