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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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「じゃあ、行ってくるから」
そう言って、いつもより少し大きめのバッグを持った紫苑を、ヒラヒラと手を振って見送ったのが昨日の話だ。紫苑が家を、それも数日間続けて空けるなんていうのは珍しい。紫苑は部活もしていないから合宿なんてものに行く機会がなかったのだが、この夏、近隣数校の成績優秀者数名が選抜され行われる、「学力強化研修」(と言う名の、学校同士の生徒の自慢合戦)の参加メンバーに、紫苑は選ばれたのである。顔見知りである校長・力河じきじきのオファーを紫苑が断れるはずもなく、少しだけ苦笑しながら「まぁ、せっかく僕を推してくれたわけだし」と言って、事前に参加生徒に課された山のような課題を消化していた。ネズミと言えばもちろんそれを手伝うわけもなく、久々に一人の時間が持てるな…くらいにしか考えていなかったわけだが、ここにきて大きな誤算が発生している。慣れない、のだ。「紫苑がいない」ということに、慣れない。朝、いるはずのない紫苑に起こされるのを待って遅刻しかけた。昼食をとろうとして、いつまでたっても現れない紫苑を屋上で待ちぼうけた。放課後、いい加減慣れてもいい頃なのに、夕飯のリクエストをしに紫苑の教室に現れたネズミをイヌカシが不思議そう顔で見てきた。そうして帰宅して読書に耽っていた今、やっぱり不在の紫苑を呼んで「そろそろ風呂に入れよ」なんて声までかけてしまった。これはひどい。ネズミは心中で自分を罵った。なんだというのだろう。紫苑が。紫苑という人間たった一人がいないというだけで部屋はいつもよい広く、静かで、快適なはずなのに胸のあたりがそわそわする。ひどく落ち着かない。そんな不快感とも違和感ともつかない感覚にぐるぐると陥りながら、本当は自分を落ち着かなくさせている感情の正体にネズミは気づいていた。ただそれを認めるのがどうしても嫌で意地を張っているだけで、本当はただきっと、単純に、紫苑がいないことが寂しいのだ。だってそうじゃなかったら、さっきからずっと脳裡に浮かんでいるあの甘ったるい笑顔の持ち主を、自分を呼ぶ声を、どう解釈すればいいというのだ。













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※紫苑が女の子


ネズミが家でお酒を飲んでいる。珍しいな、と思いながら紫苑はつまみに枝豆に塩をふって出してやり、自分は沙布がかしてくれた雑誌を読んでいた。流行のファッションやら情報やらが載っているその雑誌は、学校でもみんながよく読んでいるのを目にする。紫苑は特別、そこまで興味はなかったのでなんの気なしにパラパラと捲っていたのだが、「“大好きな彼のために☆もっとカワイクなれる魔法のメイク大特集”という見出しに、思わず手を止めて見入る。紫苑の彼氏(と表現するのはなんだかとても恥ずかしくてむずがゆいのだけれど、たぶんこの表現が正しい。ちなみについこの間までは「幼馴染」だった)は、とにかく綺麗で優雅で美しかった。今、紫苑の視界の隅で一人缶チューハイを煽っているが、そんな姿までとにかく絵になるような男なのだ。だからその彼、ネズミと正式に「付き合う」事になってから、紫苑は紫苑なりに、彼に釣り合うような存在になろうと努力している。ネズミは特に、紫苑の化粧が薄いことや私服にパンツルックが多いことに関して何も言わないけれど(まぁもともと幼馴染であったし、紫苑という存在を彼はよく理解してくれているのだろう)、そんなネズミの優しさに甘えてばかりはいられない。ネズミのためにも、出来ることがあるならば少しずつでも努力したいと、紫苑は真面目に考えていた。だから、今も「“彼のため”とか“もっとカワイク”とかいう見出しに思わず興味を惹かれて、読み慣れないキラキラしたページを真剣に捲っていく。と、急に背中にずしりとなにか重いものが凭れかかってきた。見なくてもネズミだと分かっていたので、記事に集中していた紫苑は好きにさせておく。そんな紫苑の態度をいいことに、ネズミはのそりと体を動かして、後ろから紫苑に抱きつくようにして体重をかけてくる。紫苑の耳の付け根や白い首筋、髪に鼻先を埋めて、匂いを嗅ぐ。あんまりそれがしつこいので(相当、酔ってるなあ)と思いながら記事を読み進めていると、ネズミが彼にしては珍しくだらしのない声で「しおーん、なぁ、おい。しーおーんんーー」と言って甘えてくるので、「はいはい、僕はここだよ」と適当に頭を撫でて構ってやりながら、それでも紫苑が記事を読み進めていると、「なんだ、俺をないがしろにして、なによんでんだよ」と言って、ネズミが背後から身を乗り出してくる。紫苑の肩越しにじっ…と雑誌を覗き込み、

「なにあんた。これいじょうかわいくなってどうすんの」

と言った。記事に集中していた紫苑は、その貴重な発言を軽く流しかけて、次いで我に返って思わずすぐ傍にある自分の彼氏の顔を見返した。その途端、まるでそれを待っていたかのようなタイミングで、ちゅう、とキスされた。びっくりして固まる紫苑にネズミはもう一度優しくキスをして、

「あんたはいまのままでも、じゅうぶん、さいこーに、かわいいけど」

そう言って、いつもの艶やかな笑みではなく、子供みたいに無邪気にうれしそうに笑った。











ここ数日、紫苑がなにか思い悩んでいる様子であることに、当然ながらネズミは気づいていた。気づいていた上で、過保護がすぎるような気がしてあえて放っておいた。けれどそれが幾日も幾日も続くにあたって、とうとう、もともと寛大な方ではないネズミの忍耐が切れた。別に何も言っても上の空で、なんだかないがしろにされているような気がして拗ねた訳では決してない。
「あんたさ、ここ最近何をそんなに悩んでんの」
思わず、うんざりした口調になったネズミに、紫苑はゆっくりと振り返った。不機嫌な気配を隠そうともしないネズミの顔をじっと見つめる。それからとても真剣な顔をして口を開いた。
「売春ってどうおもう」
「は」
あまりにも紫苑から不釣り合いな言葉がその唇から転がり出たことに、思わず間抜けな声をだしてしまう。
「この間街を歩いてたら、知らない男性に声をかけられた。キスと一回のフェラチオ…あ、口淫のことだよ。で、1万円、払うと言った」
「おい、あんたまさか」
「もちろん断ったよ。見ず知らずの人の性器を口に入れるなんて考えられないし、そもそも僕は未成年な訳だから、そういう性的なことで金銭を稼ぐなんて違法だ。だからその時はすぐに逃げた。けど、思ったんだ。もし僕がその1回を我慢して、それを成し遂げていたら。彼は一時間で、いいと言った。そのたった一時間の我慢で、例えば君に、君と、もっと栄養も両もある食事にありつくことが出来たんじゃないかって。ほんの少しだけ、思ったんだ。今だって、僕は君の稼ぎに依存して、君に負担を強いてる。その負担をほんの少しでも、減らせるんじゃないか、って思ったんだ」
ネズミの目をまっすぐ見つめたまま、紫苑は一息にそう言った。ネズミは不愉快そうに眼を細める。
「あんたは、それで俺が喜ぶと、そう思ってんの」
「思ってない。むしろ嫌がりそうな気がしてる」
「じゃあ」
「でもそういう理屈じゃないんだ。つい考えてしまう。もし、とか例えばの話を」
そこでネズミはふと、紫苑の手の中に握られているものの存在に気が付いた。小さくて薄い、どうやらそれは紙切れのようだった。なんども力を込めて握られたせいか、しわくちゃになっている。
「…それ、何」
「これ?うん、そう。僕がこんなくだらないことをぐるぐると考えてしまうのは多分。この紙切れのせいなんだ」
「だからそれ、何だ」
苛立った口調で再度ネズミが問うと、紫苑は握っていた両手のそっと開いた。それはやはり小さな紙切れであり、よく見ればノートか何かの切れ端のほうだった。そこに小さく、電話番号と思しき数字の羅列と、メールアドレスが書かれている。
「気が向いたらいつでもって言って、逃げる時に押し付けられた。すぐ捨てようかとも思ったんだけど、なんだか、捨てられ―――あ」
手を伸ばして、紫苑を薄暗く誘惑する紙切れを手のひらから奪い取る。ぐしゃりと握りつぶして、ランフの火に翳して燃やしてしまう。小さな可燃物はあっという間にカサカサの黒い灰になって部屋に散った。
「そんなことしなくていい」
はっきりとした怒りを孕んだ灰色の瞳と声が紫苑に刺さる。
「もし、そんなことになったりしたら俺は―――その男も、あんたも」





「絶対、許さないよ」











紫苑が「それ」を実行するとネズミに伝えた時、まず彼はその美しい顔をしかめ、そして即座に「だめだ」と反対した。けれど紫苑の中では「それ」はもう思い立った瞬間に決定事項になってしまっていて、実は学校の帰りに「それ」用の器具まですでに買ってきてしまっていたので、ネズミが嫌がろうが止めようがそんなことは紫苑にとってあまり関係はなかった。だから腕を組んで威圧的に睨んでくるネズミのお小言を行儀よく最後まできちんと聞いた後、紫苑は爽やかに「わかったよネズミ、でも僕は実行するって決めたんだ!」と言って笑った。その潔すぎる笑顔にネズミが何を思ったのかは分からないが、そこは長い付き合いだ。形の良い唇から深々と吐かれたため息に、彼が自分の説得を断念したことを紫苑は悟った。さっそく準備を始めようと冷蔵庫へ足を向けようとした紫苑に、ため息を吐き終えたネズミが1つの条件を出してきた。実際のところ、紫苑には別にその条件を飲む義理や義務はまったくなかったのだが、それさえ飲めば「それ」についてネズミからも一応は理解を得られるということで、紫苑はその条件を飲むことにした。自分の行動すべてがネズミに因るわけでは決してないのだが、それでもネズミのことを愛している紫苑としては、なるべくなら彼の意向にも沿いたい気持ちはあったのだ。そんなわけでその日、紫苑は「それ」を実行する前にネズミと生まれて初めてのセックスをした。体内に他人の、ネズミの熱と質量を感じて訳が分からなくなってきた頃、紫苑はネズミが「あんたの初の貫通を、無機物なんかに、やってたまるかよ」と呟くのを聞いた。意味を問いたかったけれどそのあたりから痛みと快感で脳が真っ白に塗りつぶされてしまい、それは叶わなかった。そして結局、果てた後気絶するように眠りに落ちた紫苑が目を覚ました後、ネズミの手によって「それ」は実行された。「どうせやるなら俺がやりたい」と言いながら、バチンという音と衝撃と耳たぶへの小さな穴がネズミの美しい手によって紫苑にもたらされた。はじめ反対していた割に少しニヤつきながら「陛下のセカンドバージンもありがたく頂戴しました」と言って両手を合わせたネズミがやっぱり不可解で、明日学校で沙布かイヌカシに聞いてみよう、と紫苑が思っていると「それはやめとけ」とネズミが言ったので驚いた。まさか、まさかとは思うが、彼の手で耳に穴をあけられたことによって、自分の思考がネズミには読めるようになってしまったのだろうか、いやでもそんな非科学的な、と割と真剣に考えだした紫苑のもとに、ネズミがマキロンとティッシュを持ってきた。ほんの少しだけ血を流している紫苑の耳を見て、「なんか俺、これから先あんたの血を見るたびに興奮しそう」と言いながらペロリとその血を舐め、それからマキロンで丁寧に消毒した。「痛むか?」と問われたので、「どっちのこと?」と紫苑が尋ね返すとネズミは少し面食らった顔をして、「あんたえろい」と言ってきたので紫苑は自分の今の発言の、いったいどのあたりが「えろ」かったのかを考えたが答えは出なかった。ネズミは時々、不思議なことを言う。そんなことを思いながらぼんやりしていると、楽しげな顔をしたネズミが唇を寄せてきたので、紫苑は黙ってその柔らかい感触を受け入れた。どうやら今、彼は機嫌が良いらしい。












・現代ネズ紫で別れ話。暗いよ!









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ネズミと紫苑と変態とロリコンがすきです。ぴくしぶとついったひっそり。
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