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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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その日は朝から、空気を丸ごと鍋で蒸したように暑い日だった。
クーラーは電気代がかさんでしまうのでなるべく使用を控えているのだが、もはやそんなことは言っていられなかった。ネズミがぼんやりと命の危機を感じる程度には、アパートの狭い部屋の温度と湿度は異常だったのである。
窓から入ってくる風はなく、じっとりと空気の停滞した部屋。吸い込む呼気さえむっと熱を帯びているようで、何をしても、していなくても、止めどなく汗が流れ続けた。ゴミ捨て場で紫苑が拾ってきた古い扇風機一台で、この夏の最高をマークした気温に太刀打ちできるはずもなく、同居を始めてから向こう、そこらの主婦よりも「節約」に目を光らせている紫苑もとうとう、クーラーの稼働に頷いたのである(それでも設定温度は27度を譲らなかったが)。
夜になり、なんとか少し下がった気温にそれでも寝間着に汗を流しながら、果敢にもネズミと紫苑は再び扇風機を稼働させた。決して寝やすい状態ではなかったが、それでも昼間の灼熱地獄を思えば日の沈んだ夜は、扇風機の弱い風でもまだ快適に思えた。朝起きたらすぐにシャワーを浴びよう、そう心に固く誓いながらネズミは紫苑とともにベッドに入った。ネズミと同じく紫苑の体も汗ばんで熱を孕んでいたが、離れて床で寝ようとは思わなかった。昼間、暑さに耐え忍んだことで思いのほか体力を消耗していたらしく、疲弊した意識はすぐに眠りへと落ちていった。

次にふと目を覚ました時、あたりはまだ真っ暗で、ネズミは自分がひどく寝汗をかいていることに気づいた。着古したタンクトップがありったけの汗で濡れ、肌に張り付く感触が気持ち悪い。紫苑がタイマーでも設定していたのだろうか、いつの間にか扇風機は止まってしまっていて、どうやら暑さによる寝苦しさで目覚めたらしかった。
上半身だけを起こし、こめかみを伝う汗を手の甲で拭いながらふと隣を見ると、タオルケットを腰元にひっかけた紫苑が丸くなって眠っていた。開け放した窓からは今はほんの少しだけぬるい風が入ってきて、揺れ動くカーテンの隙間からのぞく月明かりですぅすぅと安らかな寝息をたてる紫苑の寝顔と、その首筋や髪の生え際に光る汗が見えた。少しサイズの大きいネズミのTシャツを着た華奢な背中に触れてみると、やはりネズミと同じようにしっとりと汗をかいて濡れている。けれども白い髪に透明な汗の玉を光らせ、日に焼けないミルク色の肌で穏やかな寝顔をさらす紫苑はどこか涼しげに見えた。
暑さと寝起きのせいでぼんやりとした頭で、ネズミは再び紫苑に手を伸ばす。勝手にさまよう指先は一度紫苑の髪を梳き、白い耳の輪郭を撫で、額の汗を拭い、見慣れた左頬の痣をゆっくりとなぞった。一見涼しげに見えてもやはり暑いのだろう、おぼろげな月明かりの下でも、いつもよりそれは赤味を増してネズミの目に映り込む。しっとりと熱を持った肌に、紅潮して浮かぶ赤。


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ネズミと紫苑と変態とロリコンがすきです。ぴくしぶとついったひっそり。
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