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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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当ブログ 「 沙汰 」 は、

・非公式二次創作メイン
・内容は主にネズ紫
・ナチュラルなネタバレ
・とうとつに卑猥

な感じのすこぶるアバウトなブログサイトです。


name:沙汰(サタ)
master:水分
URL:http://yoshiya.blog.shinobi.jp/
BANA:http://file.yoshiya.blog.shinobi.jp/sata000.png
LINK:フリー
pixiv: http://www.pixiv.net/member.php?id=1131086


・無断転載とオンラインブックマークはお止めくださいまし










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その日は朝から、空気を丸ごと鍋で蒸したように暑い日だった。
クーラーは電気代がかさんでしまうのでなるべく使用を控えているのだが、もはやそんなことは言っていられなかった。ネズミがぼんやりと命の危機を感じる程度には、アパートの狭い部屋の温度と湿度は異常だったのである。
窓から入ってくる風はなく、じっとりと空気の停滞した部屋。吸い込む呼気さえむっと熱を帯びているようで、何をしても、していなくても、止めどなく汗が流れ続けた。ゴミ捨て場で紫苑が拾ってきた古い扇風機一台で、この夏の最高をマークした気温に太刀打ちできるはずもなく、同居を始めてから向こう、そこらの主婦よりも「節約」に目を光らせている紫苑もとうとう、クーラーの稼働に頷いたのである(それでも設定温度は27度を譲らなかったが)。
夜になり、なんとか少し下がった気温にそれでも寝間着に汗を流しながら、果敢にもネズミと紫苑は再び扇風機を稼働させた。決して寝やすい状態ではなかったが、それでも昼間の灼熱地獄を思えば日の沈んだ夜は、扇風機の弱い風でもまだ快適に思えた。朝起きたらすぐにシャワーを浴びよう、そう心に固く誓いながらネズミは紫苑とともにベッドに入った。ネズミと同じく紫苑の体も汗ばんで熱を孕んでいたが、離れて床で寝ようとは思わなかった。昼間、暑さに耐え忍んだことで思いのほか体力を消耗していたらしく、疲弊した意識はすぐに眠りへと落ちていった。

次にふと目を覚ました時、あたりはまだ真っ暗で、ネズミは自分がひどく寝汗をかいていることに気づいた。着古したタンクトップがありったけの汗で濡れ、肌に張り付く感触が気持ち悪い。紫苑がタイマーでも設定していたのだろうか、いつの間にか扇風機は止まってしまっていて、どうやら暑さによる寝苦しさで目覚めたらしかった。
上半身だけを起こし、こめかみを伝う汗を手の甲で拭いながらふと隣を見ると、タオルケットを腰元にひっかけた紫苑が丸くなって眠っていた。開け放した窓からは今はほんの少しだけぬるい風が入ってきて、揺れ動くカーテンの隙間からのぞく月明かりですぅすぅと安らかな寝息をたてる紫苑の寝顔と、その首筋や髪の生え際に光る汗が見えた。少しサイズの大きいネズミのTシャツを着た華奢な背中に触れてみると、やはりネズミと同じようにしっとりと汗をかいて濡れている。けれども白い髪に透明な汗の玉を光らせ、日に焼けないミルク色の肌で穏やかな寝顔をさらす紫苑はどこか涼しげに見えた。
暑さと寝起きのせいでぼんやりとした頭で、ネズミは再び紫苑に手を伸ばす。勝手にさまよう指先は一度紫苑の髪を梳き、白い耳の輪郭を撫で、額の汗を拭い、見慣れた左頬の痣をゆっくりとなぞった。一見涼しげに見えてもやはり暑いのだろう、おぼろげな月明かりの下でも、いつもよりそれは赤味を増してネズミの目に映り込む。しっとりと熱を持った肌に、紅潮して浮かぶ赤。




紫苑はたまに、涙を流す時がある。前触れはない。突然に、その少し大きめの瞳が水の膜でおおわれ、満ちたかと思うと、もうはらはらとそこは涙を溢れさすのである。隠すこともせず素直に泣く様はこどものようなのに、どこまでも静かに涙を流し続ける姿は大人びていてアンバランスだ。そうやって声もなく泣き続ける紫苑に、理由を尋ねたことはない。聞いてはいけない、というよりは聞かない方がいい気がした。紫苑はいつも、俺が遠ざけ諦めているものに手を伸ばしては、自分から勝手に傷ついていく。何度注意しても、それをやめない。やめるような器用さをもっていない。紫苑が流し続けるその涙の意味は、きっとそういったものに近いのだ。俺が忌避し続けるもの。紫苑が向き合おうとするもの。だから聞かない。もしかすると本当は、俺はその答えを知っていて、知っているからこそ聞かないのかもしれない。ばかでおろかな紫苑よりもずっと、この俺の方が。











朝。
同じベッドで起床して、同じ洗面台で顔を洗い、同じメニューの朝食をとり、同じ制服を別々に着こなして、同じ具のつまった弁当を持ち、同じ学校指定のローファーを履き、同じ玄関から家を出る二人。
その、扉を開ける前のほんの数秒前。
立ったまま俯いて靴に足を突っ込むネズミと、しゃがんで靴をきちんと履く紫苑が立ち上がるタイミングで毎朝、キスをする。たまに唇を食んだり、舌を絡めもする。そしてそれが済むと二人は満足して、扉をあけて学校へ向かう。ほんの数秒前まで男同士でキスをしていたなんて微塵も思わせない素振りで、とても良い天気の下、爽やかに登校する。たまに電信柱の影で思い出したように、こっそりとキスをしながら歩く。そうやって交わす二人だけの秘密は、誰にもバレないのだ。











「じゃあ、行ってくるから」
そう言って、いつもより少し大きめのバッグを持った紫苑を、ヒラヒラと手を振って見送ったのが昨日の話だ。紫苑が家を、それも数日間続けて空けるなんていうのは珍しい。紫苑は部活もしていないから合宿なんてものに行く機会がなかったのだが、この夏、近隣数校の成績優秀者数名が選抜され行われる、「学力強化研修」(と言う名の、学校同士の生徒の自慢合戦)の参加メンバーに、紫苑は選ばれたのである。顔見知りである校長・力河じきじきのオファーを紫苑が断れるはずもなく、少しだけ苦笑しながら「まぁ、せっかく僕を推してくれたわけだし」と言って、事前に参加生徒に課された山のような課題を消化していた。ネズミと言えばもちろんそれを手伝うわけもなく、久々に一人の時間が持てるな…くらいにしか考えていなかったわけだが、ここにきて大きな誤算が発生している。慣れない、のだ。「紫苑がいない」ということに、慣れない。朝、いるはずのない紫苑に起こされるのを待って遅刻しかけた。昼食をとろうとして、いつまでたっても現れない紫苑を屋上で待ちぼうけた。放課後、いい加減慣れてもいい頃なのに、夕飯のリクエストをしに紫苑の教室に現れたネズミをイヌカシが不思議そう顔で見てきた。そうして帰宅して読書に耽っていた今、やっぱり不在の紫苑を呼んで「そろそろ風呂に入れよ」なんて声までかけてしまった。これはひどい。ネズミは心中で自分を罵った。なんだというのだろう。紫苑が。紫苑という人間たった一人がいないというだけで部屋はいつもよい広く、静かで、快適なはずなのに胸のあたりがそわそわする。ひどく落ち着かない。そんな不快感とも違和感ともつかない感覚にぐるぐると陥りながら、本当は自分を落ち着かなくさせている感情の正体にネズミは気づいていた。ただそれを認めるのがどうしても嫌で意地を張っているだけで、本当はただきっと、単純に、紫苑がいないことが寂しいのだ。だってそうじゃなかったら、さっきからずっと脳裡に浮かんでいるあの甘ったるい笑顔の持ち主を、自分を呼ぶ声を、どう解釈すればいいというのだ。













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ネズミと紫苑と変態とロリコンがすきです。ぴくしぶとついったひっそり。
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