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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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※紫苑が女の子


ネズミが家でお酒を飲んでいる。珍しいな、と思いながら紫苑はつまみに枝豆に塩をふって出してやり、自分は沙布がかしてくれた雑誌を読んでいた。流行のファッションやら情報やらが載っているその雑誌は、学校でもみんながよく読んでいるのを目にする。紫苑は特別、そこまで興味はなかったのでなんの気なしにパラパラと捲っていたのだが、「“大好きな彼のために☆もっとカワイクなれる魔法のメイク大特集”という見出しに、思わず手を止めて見入る。紫苑の彼氏(と表現するのはなんだかとても恥ずかしくてむずがゆいのだけれど、たぶんこの表現が正しい。ちなみについこの間までは「幼馴染」だった)は、とにかく綺麗で優雅で美しかった。今、紫苑の視界の隅で一人缶チューハイを煽っているが、そんな姿までとにかく絵になるような男なのだ。だからその彼、ネズミと正式に「付き合う」事になってから、紫苑は紫苑なりに、彼に釣り合うような存在になろうと努力している。ネズミは特に、紫苑の化粧が薄いことや私服にパンツルックが多いことに関して何も言わないけれど(まぁもともと幼馴染であったし、紫苑という存在を彼はよく理解してくれているのだろう)、そんなネズミの優しさに甘えてばかりはいられない。ネズミのためにも、出来ることがあるならば少しずつでも努力したいと、紫苑は真面目に考えていた。だから、今も「“彼のため”とか“もっとカワイク”とかいう見出しに思わず興味を惹かれて、読み慣れないキラキラしたページを真剣に捲っていく。と、急に背中にずしりとなにか重いものが凭れかかってきた。見なくてもネズミだと分かっていたので、記事に集中していた紫苑は好きにさせておく。そんな紫苑の態度をいいことに、ネズミはのそりと体を動かして、後ろから紫苑に抱きつくようにして体重をかけてくる。紫苑の耳の付け根や白い首筋、髪に鼻先を埋めて、匂いを嗅ぐ。あんまりそれがしつこいので(相当、酔ってるなあ)と思いながら記事を読み進めていると、ネズミが彼にしては珍しくだらしのない声で「しおーん、なぁ、おい。しーおーんんーー」と言って甘えてくるので、「はいはい、僕はここだよ」と適当に頭を撫でて構ってやりながら、それでも紫苑が記事を読み進めていると、「なんだ、俺をないがしろにして、なによんでんだよ」と言って、ネズミが背後から身を乗り出してくる。紫苑の肩越しにじっ…と雑誌を覗き込み、

「なにあんた。これいじょうかわいくなってどうすんの」

と言った。記事に集中していた紫苑は、その貴重な発言を軽く流しかけて、次いで我に返って思わずすぐ傍にある自分の彼氏の顔を見返した。その途端、まるでそれを待っていたかのようなタイミングで、ちゅう、とキスされた。びっくりして固まる紫苑にネズミはもう一度優しくキスをして、

「あんたはいまのままでも、じゅうぶん、さいこーに、かわいいけど」

そう言って、いつもの艶やかな笑みではなく、子供みたいに無邪気にうれしそうに笑った。









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ここ数日、紫苑がなにか思い悩んでいる様子であることに、当然ながらネズミは気づいていた。気づいていた上で、過保護がすぎるような気がしてあえて放っておいた。けれどそれが幾日も幾日も続くにあたって、とうとう、もともと寛大な方ではないネズミの忍耐が切れた。別に何も言っても上の空で、なんだかないがしろにされているような気がして拗ねた訳では決してない。
「あんたさ、ここ最近何をそんなに悩んでんの」
思わず、うんざりした口調になったネズミに、紫苑はゆっくりと振り返った。不機嫌な気配を隠そうともしないネズミの顔をじっと見つめる。それからとても真剣な顔をして口を開いた。
「売春ってどうおもう」
「は」
あまりにも紫苑から不釣り合いな言葉がその唇から転がり出たことに、思わず間抜けな声をだしてしまう。
「この間街を歩いてたら、知らない男性に声をかけられた。キスと一回のフェラチオ…あ、口淫のことだよ。で、1万円、払うと言った」
「おい、あんたまさか」
「もちろん断ったよ。見ず知らずの人の性器を口に入れるなんて考えられないし、そもそも僕は未成年な訳だから、そういう性的なことで金銭を稼ぐなんて違法だ。だからその時はすぐに逃げた。けど、思ったんだ。もし僕がその1回を我慢して、それを成し遂げていたら。彼は一時間で、いいと言った。そのたった一時間の我慢で、例えば君に、君と、もっと栄養も両もある食事にありつくことが出来たんじゃないかって。ほんの少しだけ、思ったんだ。今だって、僕は君の稼ぎに依存して、君に負担を強いてる。その負担をほんの少しでも、減らせるんじゃないか、って思ったんだ」
ネズミの目をまっすぐ見つめたまま、紫苑は一息にそう言った。ネズミは不愉快そうに眼を細める。
「あんたは、それで俺が喜ぶと、そう思ってんの」
「思ってない。むしろ嫌がりそうな気がしてる」
「じゃあ」
「でもそういう理屈じゃないんだ。つい考えてしまう。もし、とか例えばの話を」
そこでネズミはふと、紫苑の手の中に握られているものの存在に気が付いた。小さくて薄い、どうやらそれは紙切れのようだった。なんども力を込めて握られたせいか、しわくちゃになっている。
「…それ、何」
「これ?うん、そう。僕がこんなくだらないことをぐるぐると考えてしまうのは多分。この紙切れのせいなんだ」
「だからそれ、何だ」
苛立った口調で再度ネズミが問うと、紫苑は握っていた両手のそっと開いた。それはやはり小さな紙切れであり、よく見ればノートか何かの切れ端のほうだった。そこに小さく、電話番号と思しき数字の羅列と、メールアドレスが書かれている。
「気が向いたらいつでもって言って、逃げる時に押し付けられた。すぐ捨てようかとも思ったんだけど、なんだか、捨てられ―――あ」
手を伸ばして、紫苑を薄暗く誘惑する紙切れを手のひらから奪い取る。ぐしゃりと握りつぶして、ランフの火に翳して燃やしてしまう。小さな可燃物はあっという間にカサカサの黒い灰になって部屋に散った。
「そんなことしなくていい」
はっきりとした怒りを孕んだ灰色の瞳と声が紫苑に刺さる。
「もし、そんなことになったりしたら俺は―――その男も、あんたも」





「絶対、許さないよ」












あの日たてた誓いを馬鹿みたいに守っている。



俺だけを、ずっと。好きでいると言った。
夏の嵐の夜、うす暗い部屋のベッドの上で紫苑はそう誓い、俺も同じ誓いを立てた。
けれど月日はそんな小さな世界を許さず、紫苑が好きなものは増えていった。俺は、紫苑しか好きじゃなかったけれど。どうして俺以外をそんなに大事にするんだと悩んだおともあったがある日唐突に、紫苑が普通で当たり前で、ずっと紫苑ばかり必要としている自分の方がおかしいんだということに気づいた。その時から俺は、躍起になって紫苑を縛ろうとあがくことを止めた。あの日の誓いはもはや守られず、紫苑がそういう意味で俺を選ぶことはない。そう理解してしまうとそれまでの嫉妬が嘘のように頭がすっと冷えてしまって、笑い出したいくらいだった。















まるで昔、それなりに遊んでいた俺への当てつけか何かと勘ぐってしまう程、紫苑は性犯罪に属する類のトラブルが絶えない。別に紫苑がものすごい酒乱で、飲むと手がつけられないほど淫乱になるとか、そういうやっすいエロビデオにありそうな設定を搭載している訳ではない。もちろん、加害者側として警察にお世話になっている訳でもない。恐ろしいことに、ただ、本当に、いっそ模範的であるほど普通に暮らしているだけで、紫苑は何かと厄介事に恵まれた。付き合いだしてからここ数年、片手では足りないその被犯罪遍歴は、中学生の時にサラリーマン風の男に売春を迫られたことに始まり、高校1年時の痴漢および盗撮、高2・高3時代の強姦未遂(男子校であったことが完全に災いした)に続き、大学に入ってからは度重なる露出狂との遭遇、かと思えばストーカーに付きまとわれた挙句夜道で襲われるなど、いっそ笑えるほどのフルコースを味わっているのである。もう一度言うが、紫苑自身はいたって普通にまじめに生活している。紫苑に非はなく、加害者に全ての責任がある。そしてもちろん、そういった奴らは自分を含めた紫苑に近しい者たちが、全力でもって身体的にも社会的にも再起不能にしてやっている。しかしながらそれでも紫苑がそういう糞野郎どもに何かしら悲惨な目に合わされる度、激しく煮え滾るこの怒りだとか殺意だとかにはいつまで経っても慣れないものであって、今日なんてとうとう誘拐からの監禁未遂という新たな称号を手に入れた紫苑に、助け出しておいてなんだが開いた口がもはや塞がらない。もう本当に、本当にいい加減にしろと誰にともなく呟いた。先ほど、倉庫で救出したばかりの紫苑はまだ気を失っていて、その手には柱に繋がれていた手錠がついたままになっている。この先、紫苑(の貞操)のためにもいっそ俺がどこかで監禁してやろうか、などと考えていると沙布に思い切り後ろから蹴られた。これだから、賢くて勘の良い女はキライだ。











ネズミが風呂から上がると、大抵紫苑はそれを待ちながらうたた寝をしてしまっている。浅い眠りを漂っている紫苑を揺すり起こしてやると、霞がかってぼんやりとした薄紅の瞳がそっと開く。普段はねぇネズミなぁネズミと、何かとおしゃべりな男だが、この遠くを見るような目をしながら気だるげに身を起こし、物言わずにゆっくりと服を脱いでいく様は、普段の紫苑の雰囲気とは違っていて、実はネズミのお気に入りだったりする。もともとの育ちが良いだけに上品な脱衣と、それに反比例して現れる紅い蛇はどうしたって淫靡で、「これはなかなか良いストリップだな」なんて、ネズミはこっそりと思っている。









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ネズミと紫苑と変態とロリコンがすきです。ぴくしぶとついったひっそり。
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