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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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ネズミがパーン!する話です。
だが主役はパンツだ。

それでもよければmore!から。



















夢を見た。











「…み、……ズミ、ネズミ!」


「………ぁ?」
「もう、ネズミってば起きて!次、僕ら移動だよ」

聞き馴れた声で目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。硬い机に突っ伏した体勢を取り続けた身体の筋肉をギシギシと軋ませながら顔を上げると、教科書やらペンケースを両手で抱えた紫苑が立っていた。少し怒っていることをアピールするためか口をへの字に曲げているが、如何せん全く怖くはない。
「…あー。はいはい。申し訳ございません陛下。すぐ準備いたしますよ」
言いながら首を左右に振ってコキコキと鳴らす。たしか次の授業は生物だったはずだ。移動があるということは、実験か何かか。まだ寝たりない気もするが、二度目の昼寝を決め込むことは出来なさそうだなどと考えながら、ネズミはだらだらと引き出しから教科書を取り出し、椅子から立ち上がろうとして、そこでピタリと動きを止めた。固まった、と言ってもいい。
「ネズミ?」
自分が立ち上がることを見越して、歩き出していた紫苑が不思議そうに振り返る。それはいい。それに関しては全く問題はなかったが、紫苑が振り向いた際に、その細い腰元でひらりと揺れた「スカート」の存在は大問題だった。
「……紫苑、あんたどうしたんだ」
「どうしたって?何がだ」
ことりと首を傾げる紫苑がちらり、と時計を気にする。あと数分で授業開始のベルが鳴るが、それどころではない。
思わず指をさす。
「だから、それだ。どうしてあんたが、スカートなんかはいてるんだ」
ネズミの記憶の中で、12歳の時に紫苑と出会ってから今の今まで、紫苑の性別はたしかに男だったはずだ。それなのにたった数十分にも満たない昼寝から目覚めてみると、しれっとスカートをはいている。あまりにも違和感がないので寝起きに顔を見た時は見過ごしたが、ネズミがさっき教科書やらを準備しているうちに教室のど真ん中で素早く履き替えたのでなければ、紫苑は今日1日ずっとスカートを着用していたことになる。そんなはずはない。朝、通りで待ち合わせた時は確かに…いや、どうだった?2限の終わりは?屋上で昼食をとっていた時は?くそ、早くも紫苑のスカートに目が慣れてしまってうまく思い出せない。
そうやって凄まじい思考の波に飲まれているネズミを不思議そうに見ながら、紫苑が口を開く。どうでもいいが艶やかなピンク色の唇をしている。

「どうしてって、それはたぶん、僕が生物学的にみて女だからじゃないかな」

ジーザス、なんということだ。紫苑は女だった。どうりで無駄に柔らかそうで艶やかな唇をしているわけだと納得しかけて、そんな馬鹿な、だったら俺は今まで紫苑の何を見てきたんだとネズミは頭を抱えた。出会って4年、紫苑がスカートをはいている事に気づかず、さらには男だと勘違いし続けていたなんて笑えないどころの話ではない。下手をすれば妄想癖かなにかで精神科いきである。紫苑に「天然だ」なんて今後二度と言えなくなるだろう。
そんな具合にネズミの混乱がピークに達し、「もしかすると紫苑は天然すぎて、本当は男なのに自分が女であると勘違いしているのかもしれない」という在り得ない方向に思考が辿り着きそうになっていた時、教室の扉がガラリと開いてイヌカシがひょいと顔を出した。
「おい紫苑、ネズミ!お前ら何やってんだよ授業始まるぞ!」
その瞬間、ネズミに名案が閃いた。そうだ、イヌカシに聞いてみればいい。「なぁ、おい、紫苑は女だったか?ちがうよな男だよな」と、ちょっと聞いてみればいいのだ。それで全てがはっきりする。第三者から客観的に見た回答こそが現実だ。ようこそ現実(リアル)へというやつだ。まぁその上でもしイヌカシに、「いやお前何言ってんだよ紫苑は女に決まってんだろ」などと言われたら柱にでも頭を打ちつけるしかないが。だがそれでも、とネズミが意を決して口を開こうとした瞬間、イヌカシが入ってきたのとは反対側の扉がバーン!と荒々しい音を立てて開いた。

「紫苑無事!?ネズミに何かされてない!?」
「うおおぉ紫苑んん無事かあああ!?」
「あ、沙布。力河くんも」

本日二度目のジーザス。セカンドインパクトの襲来だった。
ばたばたと足音荒くこちらに駆け寄ってきた二人は紫苑に抱きついた。いや、正確には片方は抱きつく寸前にイヌカシによって蹴り飛ばされたので、抱きついたのは1人だ。
沙布。紫苑の幼馴染で、紫苑と同じくらい頭がよく、気の強い、紫苑のことを愛していると公言して憚らない「少女」、だったはずだが何故かスラックスを着用している。あと気のせいでなければ今まさに抱きついている紫苑よりも体格がよく、スラリとして身長もネズミと同じくらいある。どう言い訳しても少女というよりは、思春期成長期ともに真っ盛りの青少年だった。眩暈を覚える。そしてなにより。

「いってぇな!おいイヌカシ、なにをする!!」
「うるせぇよ、どさくさに紛れて紫苑にセクハラしようとすんじゃねぇオッサン」

「俺はオッサンじゃねぇ!」と喚いている、どこからどう見てもコスプレして高校に侵入した変態にしか見えない力河が、自分達と同じように学校指定の制服を着用している現実に眩暈を通り越して殺意を覚える。少なからず美的感覚に優れていると自負しているネズミにとって、それはもはや視覚的暴力と言って差し支えなかった。それにしても。
沙布が男で、力河ですら学生だというなら、やはり紫苑は女であるという現実を受け入れるべきなのかもしれない、とネズミは思った。そして気づく。別に紫苑が女だったからと言って、なんら問題は無いいやむしろ、そっちの方が問題なく諸々のことがスムーズに行くのではないかと考えた。
そこまで思い至って、ネズミはもう一度、先ほどまで直視するのも憚られた紫苑の姿を改めてまじまじと見つめてみた。細い。白い。校章の入った濃紺の指定シャツ(よく見れば胸のあたりが平らでなく柔らかな曲線を描いている)と制服の白いスカートを完璧にモノにしている。安直に賛美するなら、可愛かった。いっそ今まで男だと思っていたことの方が不思議に思えてくる。
そうか紫苑あんた女の子なのか、と自覚してみると急激に、その華奢な肩や細い首、血色のいい頬に触れてみたくなって、ネズミは思わず紫苑に向かって手を伸ばした。しかしその手は、柔らかそうな白い肌に到達する前に、紫苑とネズミの間に割り込んだ存在によって阻止されてしまう。沙布だ。

「勝手に触らないでくれる。俺の彼女だ」
「……………は?」
「だから、人の彼女に許可なく触ろうとしないでって言ってるの」

なんだそれは、どういうことだ。そんなことは、そんな事実は自分は知らない。ああでもそれを言うなら、紫苑が女だったことや沙布が男だったこと、さらに力河までもが学生であったことすら今の今まで知らなかったのだから、仮に紫苑と沙布が付き合っていたとしても自分が知るわけはないような気もする。でもそんなまさか、紫苑が沙布と?
カラカラに乾いた喉とぐるぐると回る頭で思わず、紫苑を見る。沙布の肩越しにこちらを見ていた紫苑と目が合うと、彼女は目元と頬を淡く染め、凶悪に可愛らしい仕草でこくりと頷いた。「紫苑……」甘ったるく呟きながら沙布が振り返り、紫苑の細い顎を指先で持ち上げる。少し視線を泳がせた後、紫苑はその白く長い睫毛に縁取られた瞼をそっと下ろした。沙布がゆっくりと屈み込む。おいちょっと待て、もう少しで二人の唇が触れ、














「…み、……ズミ、ネズミ!」


「………ぁ?」
「寝るならちゃんとベッドで寝た方がいいよ?ほら、こっち」

聞き馴れた声と、肩を揺さぶられる感触で目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。硬い床に座り込みベッドに背を預けた体勢からゆっくりと顔を上げると、すでにベッドの上で布団に潜り込み、上半身だけ起こしている紫苑が目に入った。何度か瞬きをして、部屋をぐるりと見回す。小さく古びたランプに、旧式のストーブ、あたり一面の本の山と、いつも二人で眠る狭いベッド。そしてその上で、見慣れた寝巻き代わりのシャツに身を包んだ紫苑。いつもの、自分がよく知る地下室の光景だった。先ほどの、色々と衝撃的すぎた何もかものいっさいが夢であったことを悟り、ネズミは深々と安堵の溜息をついた。つかずにはいられなかった。そんなネズミを不思議そうに見やり、紫苑が首を傾げる。
「どうかしたのか?」
「…いや、なんでもない。俺も寝る」
「ん」
ブーツを脱ぎ捨て、束ねていた髪を解いてベッドに乗り上げる。紫苑がネズミのためにべろりと布団をめくった。その隙間に身体を滑り込ませようとして、ネズミはそこでピタリと動きを止めた。固まった、と言ってもいい。
めくられた布団のせいで、それまで隠れていた紫苑の下半身が露になっている。紫苑は、いつも寝る際に着用している、ネズミが貸し与えたスウェットを履いていなかった。それはいい。それだけならボクサーパンツで隣で寝られたとしても全く問題はなかったが、羽織ったその大きめのシャツの裾から覗く、ネズミの気のせいでなければ、繊細なレースのついた確実に女性用と思われる薄ピンクの下着は大問題だった。

「……紫苑、あんたどうしたんだ」
「どうしたって?何がだ」

ことりと首を傾げる紫苑がじっとこちらを見る。「君、明日早いって言ってなかったか?」などと言いながらちらり、と時計を気にする仕草をするがそれどころではない。
思わず目を逸らす。
「だから、それだ。どうしてあんたが、そんなもん履いてるんだ」
いや、むしろなんで履いてないんだと心の中だけで呟きながら、一周まわって思考が停止するに至ったネズミは、かろうじてそう言った。顔を俯けシーツを凝視するネズミを不思議そうに見ながら、紫苑が口を開く。どうでもいいが視界の端に移る素脚がやたらと白い。


「どうしてって、それはたぶん、僕が生物学的にみて―――――」


女だからじゃないかな。そう続くはずの言葉を予想して、ネズミはきつく瞼を閉じた。









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