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No.6にマジLOVE1000%の非公式二次創作ブログ。ねたばれから変態までご機嫌よう。
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高校生くらいの二人。
いつも一緒に帰ってる紫苑が見当たらない。クラスメイトに聞くと「体育倉庫の方で見かけた」というので、紫苑の鞄を持ってネズミがそっちへ向かう的なアレから始まります陛下。
若干モブ紫要素がございます。

それでもよければ右下の無意味な「Now,on sale!」という言葉からどうぞ!




















不自然に乱れた襟元をかき合わせ、いかにもといった雰囲気の古びた体育倉庫から飛び出してきたその姿をネズミが目撃したのは、まったくの偶然だった。
切羽つまった様子で辺りをざっと見渡した紫苑が、すぐ裏手の植え込みに身を隠した直後、同様にシャツを乱した男子生徒が一人、今しがた紫苑が出てきた倉庫から走り出てきた。何か叫びながら辺りをせわしなく見回し、紫苑が隠れた植え込みとは反対方向へ駆けていく。ぐいと乱暴に口元を拭う仕草は、血だろうか。この距離では遠すぎて判断できなかったが、その手に見覚えのある水色のカーディガンとネクタイが握られているのは判別できた。ゆるめてはいたがその男子生徒は首元に自分のネクタイを付けていたので、強く握りしめられたもう一本のそれは紫苑のものだろうと思われた。
そういえばたしかつい先日も紫苑は、「なくしたんだ」と言って苦笑しながら購買でネクタイを買っていた気がするが、なるほど、天然だという以外にこういう無くし方もあるわけだ、とネズミは妙に納得した。

視界から男が完全に消失するのを確認し、渡り廊下の柱の影からゆっくりと身を離し植え込みに近づく。それからほとんど間をおかず、先ほどの男が校舎の中を走っていくのが窓越しに見えた。おそらく、2階突き当たりの教室に向かったのだろう。そこは紫苑のクラスだった。
逃げた相手がカバンを取りにいったん教室に戻るとでも考えたのだろうが、生憎と紫苑の学生鞄は今ネズミが持っている。お生憎様、と心の中だけで呟いて、背の低い植え込みを覗き込めば、俯いた白い頭と大きく上下する肩が見えた。晒された首が細い。

「紫苑」

上から名前を呼ぶと、びく、と肩が大きく跳ねた。自分の声を紫苑が聞き間違うはずもないので、相手がネズミであることを紫苑は悟ったはずだが彼はすぐには振り向かなかった。すこし躊躇うような間を置いて、俯いた頭はそのままに「…や、やぁネズミ」などと返事をする。そのまま「待たせてごめん、ちょっとあの、えっと…体育倉庫に用事があって」とかもごもご言いながら、そっと襟元を掻き合わせたままの手を動かそうとしたのを、ネズミはもちろん見逃さなかった。

ぼすん、と肩にかけていた紫苑と自分の鞄を地面に落とし、不審な動きをする紫苑の右腕を掴み上げ強引に立たせる。「わっ…」と焦った声が聞こえたが聞き流し、引いた腕をさらに自分に引き寄せると、足を縺れさせた紫苑が倒れ込んできた。
胸と腕で支えられて、咄嗟にネズミを見上げた紫苑はしかし、すぐにハッと顔を強張らせ視線を逸らすと、空いている左手で胸元のシャツを押さえた。明らかに首元を隠すように俯いた顔の動きも露骨で、隠し事をするにはお粗末としか言いようがないほどに不自然だったが、紫苑は必死なようだった。
もっとも、そんなあからさまな態度を見るまでもなく、あらかたの予想はついていたが。
紫苑が自分に隠し事をしようとするのならば、話は別だ。

「しおーん?」

さっきよりも低い声で、顔を上げろという意図を込めて名前を呼ぶ。けれど俯いたまま、紫苑はぐっと黙り込む。
はぁとひとつ溜息をつき、唇を紫苑の耳元に寄せ囁いてやるのと同時に、ほんの少し、掴んだままの右手に力を込める。

「なぁ、自分で見せるのとここで俺に上半身剥かれるの、どっちがいい」
「…っ」

ネズミの声に含まれた不穏な空気を感じ取り、紫苑は戦慄した。バレている。しかもなんでもないように装っているが、どうやらネズミは怒っている。もしかすると、うまくすれば、こんな失態を晒さずになんとか切り抜けられるかもしれないと少し期待したが、もはやそれはどう頑張っても無理そうだった。掴まれた手首に責めるように食い込んだ指が痛い。けれど、「こんなもの」をネズミに見られるのは耐え難い。

「…どっちも、嫌だ」

うな垂れたまま、紫苑は声を絞り出す。もう何が起こったかは確実に知られているし、説明はするから、あと今後は本当にもっと気をつけるからもう許してくれ、と紫苑が続けようと口を開いた瞬間、不意にネズミが動いた。バランスを崩した紫苑をなかば引きずるようにして、先ほどから開けっぱなしになっていた体育倉庫の中に連れ込む。
サッと青ざめた紫苑が体勢を立て直す前に、手際よく脚をかけられ埃っぽいマットの上に転がされた。痛くはなかったが、衝撃に思わず目を瞑ると、入り口でガチリと倉庫の扉を閉め切る音が聞こえた。まずい、と遅まきながら紫苑が起き上がろうとする頃には、もうネズミが腹の上に跨っていた。紫苑の肌にふつりと鳥肌がたつ。ネズミに対してではない。ここは、このマットは、この体勢は、さっき。

「どちらもお嫌とは、どうにも陛下は我儘でいらっしゃる」

ネズミは唇だけを歪めて微笑むと、転んでも紫苑が離さなかった襟元から両腕を力ずくで引き剥がし、片手で拘束する。
あ、と思う間もなくもう片方の手で顎を上向かされて、紫苑の首元が大きくあらわになる。
そうして紫苑が頑なに見せまいとした肌を見て、ネズミの目が僅かに見開かれた。それもそうだろう。紫苑はきつく瞼を閉じる。
ネズミが予想していた痕は、1つや2つではなかった。首から、鎖骨から、顎の裏から、胸、はては乳首の際までと、ほの赤い鬱血の痕はそこらじゅうに散っていた。
(なんだこれは)
カッとネズミの頭に血がのぼる。余裕ぶったふりもかなぐり捨てて、紫苑のシャツの前を乱暴に肌蹴けようとした手に、そっと紫苑が自分の手を重ねた。

「…これ以上は、ない。途中で…その、逃げたから」

首ごとネズミから視線を背けた紫苑が、小さな声で告げる。それでもネズミは、無言で全てのボタンを外しシャツの前を開いた。紫苑の言う通り、痕は首と胸元に集中していて、それ以外にはない。けれどそのせいで、なめらかで真っ白な腹とそことの色の違いが際立っていた。猥らに乱れ散る赤は、紫苑の意思とは無関係にひどく淫猥だ。そして、その何十倍も忌々しい。これらは自分がつけたものではない。あの、名前も知らない男がついさっき、ここで紫苑に無理やり刻んだ痕だ。唇を寄せ、何度も舌を這わせ、夢中になって吸い付いたに違いない。紫苑の肌は男のくせになめらかで、肌理こまかく、とにかく白い。唇で辿る感触も、舌先で確かめる味も、鼻先を寄せた時の匂いも、知っているのは自分だけのはずだったのに。
二人の間に横たわる沈黙を、破ったのは紫苑だった。

「ネズミ、」

「……なんだよ」

「キスが、したい」

背けていた顔を戻し、下から真っ直ぐにネズミを見上げてくる紫苑の瞳が、僅かに揺れている。
「君にキスしてほしい」と続けて口にしながら、紫苑は片腕を持ち上げてネズミの頬を撫でた。襲われたのは自分の方であるくせに、それはネズミを気遣うような仕草だった。ちがう、慰められるべきは紫苑であって、ネズミではないはずだ。けれど腹の底にふつりと沸いた怒りや嫉妬はそう簡単には消えてくれない。自分以外の痕を残し続ける紫苑の肌にすら、理不尽な怒りを覚えてしまいそうだった。

「ねずみ、」

もう一度、名前でキスをねだられる。ネズミをじっと見つめてくる紫苑の瞳はやはり揺れている。不安げで、少し切羽詰まったような紫苑の、紫の瞳が薄く潤んでいた。やけにキスに拘るな、と唇に目を落としたところで、そういえば先ほど男が体育倉庫から出てきた時、口元を拭っていたのを思い出した。すぅ、とネズミの目が細くなる。ああなるほど、つまり。

「キスもされたわけだ?」

上体を折り曲げて、上から覗き込むようにして視線を近づける。紫苑が表情を歪めた。ぐい、と手荒く拭った唇を、ネズミは指でそっと撫でてやる。ふにふにと柔らかい感触を確かめて、ここの味まで知ったのかとまた苛立った。

「口を、噛んでやった」

「知ってる」

抵抗してやったのだと紫苑は主張したいようだったが、体育倉庫で強姦を目論むほど執着した相手からの噛み傷を、相手が喜ばないとも限らない。

「ネズミ…」

焦れた紫苑が、自分から唇を押し付けてきた。首の後ろに回された腕の力が、いつもより強い。縋るように抱き込まれる。そこに紫苑の恐怖や悲しみをみた気がして、優しくしてやりたくなった。
一度唇を離し、今度はネズミから角度を変えて唇を合わせた。音を立てて何度も吸って、上唇と下唇をゆっくりと舌でなぞる。うすく開かれた隙間から舌を差し込んで、歯列や上あごを丁寧に舐めた。背筋を震わせながら、それでもネズミの動きに必死で応えてくる舌を優しく絡めとり擦り合わせると、紫苑が喉の奥でくぐもった声を上げた。それを何度も繰り返す。吸って、舐めて、なぞって、絡める。唇の端から溢れた唾液も丁寧に掬ってやる。最後にもう一度、柔らかく重ねるだけのキスをして離れる。うっすらと開かれた紫苑の瞳から、ほろりと涙が零れた。それも唇で吸いとって、瞼の上に唇を落とす。
安心したように微笑む紫苑に、ネズミもにっこりと笑いかけてやる。
が。

「まだ終わってないから」

「え?」




「身体の方も、綺麗に消毒して差し上げますよ陛下」









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